「世界の始まり」とティーターン族

カオス┳ガイア
    ┣タルタロス
    ┗エロース

ギリシャ神話の世界観では,まず最初に「カオス[χαος = Chaos]」がありました.カオスは通常「無秩序な混沌」などと訳されていますが,呉茂一氏によれば,カオスはギリシャ語の「口を開ける.隙間を作る」などという語根「カ・[χα-=cha-]」にもとづき,「空間や隙間の,何もない広がり,…煙霧の立ちこめた無限」と解すべきものだそうです.

似た言葉を探してみると,「口を大きくあける.あくびをする」という意味の「カイノー[χαίνω]」.これから派生した合成前綴の「口のあいた」を意味する「カエノ・ [chaen(o)-]があり,また「深い割れ目.空洞」を意味する「カスマ[χάσμα」があります.これがラテン語化して「割れ目.裂け目」を意味する「カスマ[chasma]」,合成前綴化して「カスム・/カスモ・[chasm(o)-]」となります.
 この語根を持つ恐竜が「カスモ・サウルス[Chasmo-saurus]」.発見された頭骨に特徴的な割れ目があったためにつけられました.ここでは「裂罅龍」と訳しておきましょう.

さて,カオスから「ガイア(Γαία = Gaia =大地)」が生まれ,「タルタロス*1 (Τάρταρς = Tartaros=冥界の最深部)」が生まれ,「エロース(Έρως = Eros=愛)」が生まれました.この時に,カオスから「エレボス(Έρεβος = Erebos =幽冥)」と「ニュクス(Νύξ = Nyx =か黒い「夜」)」が生まれたともいいます.
 恐龍ではありませんが,翼竜のニュクト・サウルス[Nycto-saurus]のニュクトはニュクスが語源.「夜のトカゲ」という意味ですが,夜行性と考えられたのでしょうか.
 その後,「夜」ニュクスと「幽冥」エレボスが「愛」エロースの影響を受けて結ばれ,「アイテール(Αίθήρ = Aither = 灝気)」と「ヘーメラー(Ήμέρα = Hemera) = 昼日」が生まれたそうです.「光あるところ闇あり」ではなくて「闇あるところに光あり」だったんですね.「灝気」アイテールの「灝気」は広辞苑にも載っていないような言葉ですが,呉茂一さんの本には「高空の光と輝きに満ちた」という枕詞(?)がふってあります.このあとででてくる「天空」ウーラノスのさらに上空は,光り輝くところと考えられていたのでしょう.
 のちの物理学で,宇宙に満ちていて「光をつたえる」と考えられてた物質をアエテール[ Aether ](「エーテル」と表記されているのが普通)と呼んでいましたが,これはもちろん,アイテールを語源としています.化学で使う「エーテル[ether]」も,これが語源です.イーサネット[Ether-net]のイーサも,これが語源だそうです.

話を元に戻しましょう.
 ガイアは短くして「ゲー[Γη=Ge]」とも呼ばれます.
 ゲーはもちろん,地質学[Geology]の語根です.
 「地質学とは『地を論じ』る学問である」というのは,鈴木醇(北海道大学地質学鉱物学教室名誉教授:故人)氏の得意なジョークだったそうです.地質学は英語で“ジオロジー”,つまり,“ぢをろんじ”となるのだそうなんだ.体重百キロを越える怪人・鈴木醇(すずきじゅん)名誉教授は,自らを“酒好人(=しゅずきじん)”と称し,豪快な逸話の多い人物でした.いつか,鈴木醇名誉教授をはじめとする北海道大学・地質学鉱物学教室の興亡をまとめてみたいものだと考えています.

話を元に戻しましょう((^^;)
 ギリシャ神話のガイアはローマ神話では「テッルース[Tellus]」.
 原子番号52番の「テルル[Tellurium]」はこのテッルースにちなんでいます.テッルースはまたの名を「テッラ[Terra]」といい,ともに「大地,土」の意味でもちいられています.テッラは英語では「テラ[terra]」になるので,こちらの方が通りが良いですね.

ガイア┳ウーラノス
    ┣高い山々
    ┗ポントス

話を元に戻しましょう.((^^;,(^^;)
 ガイアはひとりで「ウーラノス(Ούρανός = Uranos=天空)」を生み,「高い山々」を生み,「ポントス(Πόντος = Pontos=荒海)」を生みました.

さて,オウラノ・サウルス[ Ourano-saurus ]とよばれる恐竜がいます.オウラノ-は直接ギリシャ語のウーラノスの綴りを合成前綴化したものだといいたいところですが,本当のところは,北アフリカに住む一部族の言葉の「オウラネ[ourane]」(=「恐れを知らぬ」という意味)からきているというのが正しいそうです.しかし,私にはこれは言葉遊びで二重の意味があるような気がします.

1781年に発見された「天王星[Uranus]」はウーラノスにちなんだもの.この新惑星にちなんで,1789年に発見された新元素が「ウラニウム[Uranium]」=「ウラン[Uran]」と名づけられました.

ガイア
 ┠─────┬オーケアノス
 ウーラノス ├コイオス
       ├クリーオス
       ├ヒュペリーオーン
       ├イーアペトス
       ├クロヌス
       ├テイアー
       ├レイアー
       ├テミス
       ├ムネーモシュネー
       ├ポイペー
       └テーテュース

その後,ガイアは息子であるウーラノスを夫として,オーケアノスや,コイオス,クリーオス,ヒュペリーオーン,イーアペトスらの息子とテイアー,レイアー,テミス,ムネーモシュネー,ポイペー,テーテュースらの娘を生みました.これらがいわゆる「ティーターン(Τιτάν = Titan =巨神)族」です.英語では「タイトゥン」.
 「ティータノサウルス[ Titanosaurus ]」は,ティーターン[Titan]を合成前綴化した「ティータノ・[titan(o)-]」にサウルスを合成した言葉.「巨神族の龍」というところでしょうか.この仲間は「恐竜=巨大」のイメージが示す通り,巨大なものが多いです.

ガイア
 ┠─────┬…
 ウーラノス │(キュクローペース)
       ├ブロンテース
       ├ステロペース
       ├アルゲース
       │(ヘカトンケイレス)
       ├コットス
       ├プリアレオース
       ├ギュエース
       │(娘)
       └ディオーネー

ガイアはさらにウーラノスとの間に,三人の「キュクローペース[Cyclopes]」,三人の「ヘカトンケイレス[Hecatoncheires]」を生み,また「ディオーネー[Dione]」を生んだとされています.
 キュクローペースは複数形で,単数形は「キュクロープス[Cyclops]」.「キュクロ・ [cycl(o)-]」は「円・輪・環」を表す語根.英語では「サイクロ・」になります.「オーポ・ [op(o)-]」は「眼の,顔の」を意味する語根で,キュクローペースは「円い目の巨人たち」とよばれています.キュクローペースは「火山の擬人化(擬神化)」といわれていますが,一休みしている活火山に開いた円い火口をイメージしてみると,なるほどという気になります.
 オーポを語根とする恐竜名で有名なものには,「ケラトープス類[ CERATOPSIA Marsh, 1890 ] 」があります.「ケラト・[cerat(o)-]」はギリシャ語「ケラス(κέρας = 角・つの)」から派生したラテン語の語根で「角のある」という意味.「・オープス[-ops]」はもちろんオーポの名詞化で「眼.顔」ですが,一般的には合わせて「角のある顔」と訳されています.ただし,「・オープス」を「顔」という意味でつかう単語はあまり見当たらりません.詳しくは別項で.

キュクローペースの三人の名は,「ブロンテース[Brontes]」,「ステロペース[Steropes]」,「アルゲース[Arges]」です.雲仙岳や有珠山が噴火したとき,立ち昇る噴煙の中に,この三人の姿がみられましたが,記憶しておいででしょうか.噴煙が巻き起こす上昇気流によって生じた雷がしばしば見られたのです.

ブロンテースの語源はギリシャ語の「ブロンテー[βροντή]」で「雷鳴」のこと.この名前をもらったのが「ブロント・サウルス[ Bronto-saurus Marsh, 1879 ]」.歩くと雷のような音がするからだというのは“ガセ”らしい.命名者のマーシュはとくに由来についてはなにも言っていないようです.やはり,ティーターンの一人「ブロンテースの龍」と考えるのがいいでしょう.

ステロペースの語源もギリシャ語の「アステロペー[αστραπή]」で「雷光・稲光」のこと.ステロペースの名前をもらった恐竜はまだいませんが,第三紀の哺乳類には「輝獣」と訳される「アストゥラポ・テーリウム[Astrapo-therium]」がいます.「テール・/テーロ・ [ther(o)-]」は「θήρ, θηρός=野獣」のこと.一方,ブロンテーもテーロと結びついて,「ブロント・テリウム[ Bronto-therium ]」となり,こちらは「雷獣」.
 また,ラテン語の「フルグル・/フルグロー・ [fulgur(o)-]」も「稲光がする,ひらめく」を意味し,こちらもテーロと結びついて,「フルグロー・テーリウム[ Fulguro-therium ]」となり「稲妻獣」と訳せますが,こちらは恐竜の仲間.

アルゲースはギリシャ語では「アルゴス[αργός]」で「白熱の光輝」のこと.アルゴスが語源の恐竜はまだありませんが,これを語根としてギリシャ語の「アルギュロス[άργυρος]」やラテン語の「アルゲントゥム[ argentum ]」が生まれました.これは共に「銀」という意味です.もちろん,銀は「白く美しく輝く」からですね.また,「白く美しく輝く河や湖」の国が「アルゼンチン[Argentina]」と名づけられました.けっして銀が豊富に取れたからではないのですが…….アルゼンチンは著名な恐竜化石産地なので,きっと,そのうちアルゼンチンの名を付けた恐竜がでてくるでしょう.

アルゴスと同じ綴ですが,まったく別の意味を持つ言葉があります.それはエルゴスに否定形のアがついたア・エルゴスの省略形です.エルゴスの名詞形はエルゴン(ergon)で「働き・仕事・活力」を意味します.また,エルゴンは仕事またはエネルギーの絶対単位であるエルグ(Erg)としてももちいられています.これに否定形がついたので,つまりアルゴスは「働かない.怠惰の」という意味になるわけです.これの名詞形が「アルゴン[a + ergon = argon]」.だから原子番号18番のアルゴンは不活性気体なのね.

話を元に戻しましょう.
 ウーラノスはガイアが産み出す子どもたち(つまりティーターン族)を嫌ってタルタロスに幽閉しましたが,ティーターン族の末子であるクロヌスによって復讐されます.クロヌスはタルタロスに幽閉されていたティーターン族を開放し,天地の支配権を手に入れます.

クロヌス
 ┠────┬ヘスティアー
 レイアー ├デーメーテール
      ├ヘ−ラー
      ├プルートーン
      ├ポセイドーン
      ├ハーデース
      └ゼウス 

クロヌスは妹のレイアーを妻として,たくさんの子どもをつくりますが父・ウラヌスと同じく子どもたちを嫌って,生まれる端から飲み込んでしまいます.
 因果は巡る.
 クロヌスの末子ゼウスはクロヌスの胃から救出した兄弟たちと協力して,クロヌスとその兄弟であるティーターン族に戦いを挑みます.これを「ティーターノマキア[Τιτάνομάχια = Titano-machia]」といいます.「・マキア[μ χια= -machia]」は「戦い」という意味.

ゼウスはティーターノマキアに勝利しますが,ゼウスの時代はまだやって来ません.
 今度は「ギガントス[Γίγαντος]」との戦いが始まります.ギガントスの単数形は「ギガス[Γίγας]」ともよばれ,ラテン語化して「ギガンテス[ Gigantes]」ともいいます.日本語では「巨人族」と訳されます.もちろん,英語の「ジャイアント[giant]」の語源です.
 この戦いはギガントマキア[Giganto-machia]とよばれています.
 ゼウスはこの戦いにも勝利し,やっとゼウスを主神とする(良く知られている)「オリュムポス[Όλυμπος = Olympus]」の神々の時代が始まります.

ウーラノス┬アプロディーテー
      ├ギガントス
      └エリーニュエス

話が前後しますが,ギガントスの出自について少し触れておきましょう.
 ティーターノマキアにおいて,大地に滴ったウーラノスの血から生まれたのが巨人族ギガントスです.しかし,その後クロヌスやその息子のゼウスから支配権を奪還しようとしたガイアが生んだ巨人たちもまたギガントスとよばれています.一方,クロヌスによって切り取られたウーラノスの陽物は海に放り込まれ,ここから美と愛欲の女神アプロディーテーが誕生しました.

このギガントスが合成前綴化して「ギガントゥ・/ギガント・[gigant(o)-]」となり「巨大な」という語根になります.これから,たくさんの恐竜の名前が生まれました.
 まずは「ギガント・サウルス[ Giganto-saurus ]」.そのまま「巨人龍」と訳しておきます.
 「ギガント・スケルス[ Giganto-scelus ]は,「脚の,脛の」を意味する「スケロ・ [scel(o)-」と結びついて「巨大な脛」という意味.
 「南」を意味する「ノトス[νότος]」からできた合成前綴「ノトゥ・/ノト・[not(o)-]」がはさまったギガ・ノト・サウルス[ Giga-noto-saurus ].この場合は「巨大な南の龍」と訳した方がいいでしょう.
 ギガント・は接尾辞「・エウス[-eus]」と結びついてギガンテウス(=巨大な)という形容詞になり,種名としてもちいられることも多いです.恐竜名でいうと,アンタルクトサウルス=ギガンテウス[Antarctosaurus giganteus],パキュサウルス=ギガンテウス[Pachysaurus giganteus]など.前者は「巨大な南極龍」で,後者は「巨大な厚い龍」という意味.

このほかギガス[gigas]ももちいられ,恐竜名ではコンドゥロステオサウルス=ギガス[Chondrosteosaurus gigas],マーノスポンデュルス=ギガス[Manospondylus gigas]など.
 「コンドゥル・/コンドゥロ・[chondr(o)-]」は「軟質の・」という合成前綴で,「オステオ・[oste(o)-]」という合成前綴と結びついて「軟骨の」という意味.なお,コンドゥロ・だけでも「軟骨の・」の意味に使われる場合もあります.したがって,この種は属名とセットで「巨大な軟骨の龍」という意味.
 一方,「マーノ・[mano-]」は「薄い」という意味を持つギリシャ語の「マーノス[μανός]」をラテン語化したものに,「脊椎」という意味の「スポンデュルス[spondylus]」を合成.種名と合わせて,「巨大な薄い脊椎」という意味をもちます.


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【ここに登場した恐龍】

Chasmosaurus Lambe, 1914
【模式種】 Monoclonius belli LAMBE, 1902
【産 出】北米(後期白亜紀)
【分 類】
CERATOPSIA Marsh, 1890a
 NEOCERATOPSIA Sereno, 1986
  CERATOPSIDAE Marsh, 1890a
   CHASMOSAURINAE Lambe, 1915
 模式標本は最初,モノクロニウスの仲間として,ランベが報告した.研究が進み,1914年になって,ランベはこの恐竜はトローサウルスの先祖形にあたると考え,「トローサウルスに先行する」という意味のプロートローサウルス[ Protorosaurus ]と改名したが,プロートローサウルスはすでに使用されていたので,カスモサウルスが再提案された.

Ouranosaurus Taquet, 1976
【模式種】 Ouranosaurus nigeriensis Taquet, 1976
【産 出】北アフリカ(前期白亜紀)
【分 類】
ORNITHOPODA Marsh, 1881
 IGUANODONTIA Dollo, 1888
  IGUANODONTIDAE Cope, 1869
 オウラノサウルスは分類で見てわかるようにイグアノドンの仲間である.特徴的な長く伸びた神経棘をもち,背中には空に向ってそびえる帆のような突起をもっていた.形態からは「勇者(恐れを知らぬ)龍」というよりは「ウラヌス(天)の龍」のほうがいいような気がするが…….私もしつこいね.

Titanosaurus Lydekker, 1877
【模式種】Titanosaurus indicus Lydekker, 1877
【産 出】インド(後期白亜紀)
【分 類】
SAUROPODOMORPHA Huene, 1932
 SAUROPODA Marsh, 1878
  TITANOSAURIDAE Lydekker, 1885
   Titanosaurus Lydekker, 1877

Titanosaurus Marsh, 1877
【模式種】Titanosaurus montanus Marsh, 1877
【産 出】北米(後期ジュラ紀)
【分 類】Nomen dubium
 1877年にアメリカのマーシュがそれまで発掘されたどの動物の骨よりもでかいということで,この名前を提案した.ところが,同じ年ではあるが,この名前はすでにライデッカーが別のインド産の恐竜の骨に使っていたので,アトラントサウルス[Atlantosaurus]に修正された.ところが後の研究で,この標本は腰部の脊椎数個にすぎないことがわかり,現在では「疑わしい名前[nomina dubia]」として処理されている.
 一方,ライデッカーがティータノサウルスと名づけた恐竜標本はティータノサウルス=インディカス[Titanosaurus indicus].インド産の巨大な尻尾の脊椎に基づく.現在では,ティータノサウルスに属する恐竜はインドを中心に4種以上発見されている.

Gigantosaurus Fraas, 1908
 1908年,東アフリカから発見された恐竜に,フラーズによってギガントサウルス=アフリカヌスとギガントサウルス・ロブスタの名が提案されたが,アフリカヌスは後にバロサウルス[Barosaurus Marsh, 1890]に編入された.ロブスタは新属であったがギガントサウルスの名はすでにシーリィによって使われていたために,新属トルニエリア[Tornieria Starnfeld, 1911]に訂正された.

Gigantosaurus Seeley, 1869
【模式種】 Gigantosaurus megalonyx SEELEY, 1869
【産 地】イングランド(後期ジュラ紀)
【分 類】Nomen dubium
 1869年,シーリィによってイングランド産の恐竜に付けられた名前である.しかし,この標本の一部はペローロサウルス[Pelorosaurus Mantell, 1850]であると判定され,残りの標本では新属とはいえないとされ,現在ギガントサウルスに属するとされる標本はない.

Gigantoscelus Hoepen, 1916
【模式種】 Gigantoscelus molengraaffi Hoepen, 1916
【産 地】南アフリカ(後期三畳紀)
 模式標本は大腿骨の末端部であり,Nomen dubium (疑わしい名前)である.同地域からは,他にもたくさんの標本が発見されており,ユースケロサウルス[Euskelosaurus Huxley, 1866]とされるものが多いので,この標本もユースケロサウルスだろうと考える人もいる.

Giganotosaurus Coria & Salgado, 1995
【模式種】 Giganotosaurus carolinii Coria & Salgado, 1995
【産 地】南アメリカ(前期白亜紀)
 詳細未調査

Antarctosaurus giganteus Huene, 1929
【産 地】南アメリカ(後期白亜紀)
【分 類】
SAUROPODOMORPHA Huene, 1932
 SAUROPODA Marsh, 1878b
  TITANOSAURIDAE Lydekker, 1885
   Antarctosaurus Huene, 1929

Pachysaurus giganteus Huene, 1932
【産 地】ヨーロッパ(後期三畳紀)
【分 類】
  Plateosaurus engelhardti Meyer, 1837
 パキュサウルスはヒューンによって1908年に定義され,数種が新種として記載された.1932年,これに属する新種としてパキュサウルス=ギガンテウスがヒューンによって記載された.しかし,現在ではこれらはすべてメーヤーが1837年に記載したプラテオサウルス=エンゲルハルドティと同じものだと考えられている.

Chondrosteosaurus gigas OWEN, 1876
【産 地】イングランド(前期白亜紀)
【分 類】
SAUROPODOMORPHA Huene, 1932
 SAUROPODA Marsh, 1878
  CAMARASAURIDAE Cope, 1877
   OPISTHOCOELICAUDIINAE McIntosh, 1990
    Chondrosteosaurus Owen, 1876
 イングランドで発見されたいくつかの椎骨が模式標本.標本の内容から属としての独自性が疑われたり,ペロロサウルス[Pelorosaurus Mantell, 1850]に属するものではないかとされたこともある.怪しいと思うが,現物を検討しないことにはなんともいえない.

Manospondylus gigas Cope, 1892
【産 地】北米(後期白亜紀)
【分 類】
 標本は保存の悪い二つの椎体.新属新種としての独自性は疑わしい.後に,テュランノサウルス=レックスが記載され,この標本はテュランノサウルスであろうということになっている.

Brontosaurus Marsh, 1879
【模式種】 Brontosaurus excelsus Marsh, 1879
【産 地】北米(後期ジュラ紀)
【分 類】
SAUROPODOMORPHA Huene, 1932
 SAUROPODA Marsh, 1878
  DIPLODOCIDAE Marsh, 1884
   DIPLODOCINAE Janensch, 1929
    Apatosaurus Marsh, 1877
    Apatosaurus excelsus (Marsh, 1879)
 模式標本には頭骨がなかった.発表当時から分類が問題視されていたが,ブロントサウルスの名前は有名.しかし,最近では整理されてアパトサウルスとされるのが一般的である.ちなみに,「アパテー[απάτη]」とは「偽り.だまし」という意味で,この分類問題で,しばしばギャグとして使われる.鉱物の名前にも「アパタイト[Apatite]」=燐灰石というのがあるが,この名前も「ほかの石と間違われやすい石」というのが語源である.



*1 タルタロス:タタール[Tartar, Tatar]人といういい方は,モンゴル帝国が拡大したときに,その戦法の恐ろしさに恐怖したヨーロッパ人が「地獄から来た奴ら」という意味で,使ったのが始まりだそうです.もとは,モンゴルの一部族の名だったという話もありますが,ヨーロッパ人から見た蔑称なのに,現在も平気で使われてますね.漢字では「韃靼」と書きます.タマネギ,パセリ,ゆで卵を刻んでマヨネーズと併せたものをタルタルソース[tartar sauce]といいますが,これは当時のタタール人の食べ物に由来しているそうです.



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