その4 中央アジアから

エルリコサウルス

エルリコサウルス[Erlikosaurus]は「エルリク[Erlik]」に《連結詞》[-o-]を語尾につけ,サウルスと連結してラテン語化したもの.意味は「エルリクの龍」
 エルリクとは,シベリアからモンゴルにかけて住んでいるタタール族の間につたわる伝説の悪神のこと.地域によって多少伝説が異なるようですが,別の神さまが海にただよう人型の泥塊に魂を吹き込んでできたのがエルリクだといわれています.のちに,生みの親である神と仲たがいしたエルリクは,生きている人間は神に残し,死者を自分のものとして,みずからを死者の王としたという話です.

模式種は,エルリコサウルス=アンドレウシイ[E. andrewsi].人名アンドリュース[Anderews]に《接尾辞》[-i]をつけてラテン語化し,種名としたもの.意味はもちろん「アンドリュースさんのエルリコサウルス」.ルール上こうなっているだけで,べつに,ほかに「佐藤さんのエルリコサウルス」がいるわけではありません.
 アンドリュースという名の地質学者・古生物学者は何人かいますが,この場合は多分,ロイ=チャップマン=アンドリュース[Roy Chapman Andrews] (1884 - 1960)でしょう.彼は,アメリカ自然史博物館の遠征隊長で,1920年代にゴビ砂漠調査をおこない,多数の恐龍や恐竜の卵を発見しています.
 英語圏の人は『エル・リク・オ・サウル・ウス』という風に発音します.ラテン語風なら『エルリコ・サウル・ウス』...


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【ここに登場した恐龍】

Erlikosaurus Perle, 1981
【模式種】Erlikosaurus andrewsi Perle, 1980
【産 出】モンゴル(後期白亜紀)
【分 類】Clark, Maryanska & Barsbold (2007, p. 152.)
THEROPODA Marsh, 1881
 COELUROSAURIA von Huene, 1914
  THERIZINOSAUROIDEA (Maleev, 1954)
    THERIZINOSAURIDAE Maleev, 1954
      Erlikosaurus Perle, 1981
        Erlikosaurus andrewsi Perle, 1981




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